子育ての悩みを解消するための
たった一つのマインドセット
子育て
ふぁみりあす 代表 生田あゆみ様にご登壇いただき、「あんなに楽しみにしていた赤ちゃんとの生活なのに、始まってみたらうまくいかないことがたくさん!」「悩みはつきないし、調べても情報がありすぎて混乱しちゃう!」というママたちの悩みをたった一つのマインドセットで解消する、そんな方法についてお話いただきました。
本レポートでは当日お話いただいた内容を抜粋して、イベントをご紹介します。
登壇者紹介
- ふぁみりあす 代表
- ふぁみりあす 代表
- 生田 あゆみ
- 1998年〜2016年まで私立高校で国語科教員として勤務。国際教育に携わる中で先生が教える一方通行で一斉型の日本の授業スタイルに疑問を抱き、対話や探究学習を実践に取り入れてきました。自身の出産後、乳幼児期の保護者と出会うことで偏差値・学歴至上主義の教育を変え、子どもたちが自分らしく学ぶことを楽しむためには、幼少期からの家庭におけるコミュニケーションと親の教育マインドのアップデートが必要だと感じました。2016年に教員を退職。以後、主に乳幼児〜学童期の保護者向けに講演活動や講座を行ない、900人を超えるママたちを支援しています。
1998年〜2016年まで私立高校で国語科教員として勤務。国際教育に携わる中で先生が教える一方通行で一斉型の日本の授業スタイルに疑問を抱き、対話や探究学習を実践に取り入れてきました。
自身の出産後、乳幼児期の保護者と出会うことで偏差値・学歴至上主義の教育を変え、子どもたちが自分らしく学ぶことを楽しむためには、幼少期からの家庭におけるコミュニケーションと親の教育マインドのアップデートが必要だと感じました。
2016年に教員を退職。以後、主に乳幼児〜学童期の保護者向けに講演活動や講座を行ない、900人を超えるママたちを支援しています。
0歳〜3歳児のママさんたちの悩みとは
0歳〜3歳児のママさんたちのお悩みランキング1位は寝ない、2位が授乳と食事、第3位が泣く、これがベスト3になっています。(上図参照)
また東洋大学人間科学総合研究所の調査によると、同じく0歳児の母親の悩みとして食事、生活リズム、健康のこと、自分の時間が持てないことなどが上位に挙げられています。
0歳~3歳まで広げると、育て方、叱り方、褒め方、教育、性格が上位になり、お子さんとのコミュニケーションに関することが増えてきます。言葉がけについては様々な本も出てますし情報もあります。
でも、わが子に合った育て方の適切な答えを見つけるのは難しいですよね。
ランキング10位くらいまでを見ると、子育てという意味での教育の部分、それからお食事と健康がお悩みランキングの上位に入ってきています。
この調査ではパートナーに対する設問が入っていないのですが、多くの調査結果で5位~6位ぐらいに「夫との意見が合わない」とか「子育ての方針がずれる」「やってくれなくてイライラする」という意見が入ってきます。
こんなに違う、子育て情報
子育て情報の入手先は、ネットや雑誌、本、SNSが一番手軽な方法です。まず、ネット検索の結果の違いについて見ていただきますね。
上の画像は私自身が1人目の子どもを育てた時、すごく悩んで調べた結果です。「あれ、どれが本当のことなんだろう」って混乱をした2つのテーマについての画像です。
左側は母乳とミルクのこと。そして右側が夜起こした方がいいのかどうかについてです。この2つのことをすごく悩んで検索していました。ところが、どちらのテーマも真逆の意見が並んでいて、とても混乱しました。
うちの子は本当に母乳を飲むのも下手だし、飲む量も少なかったんです。でも、母乳推進の病院に通っていたのでとにかく飲ませなさいと言われて、とても悩んでいました。ミルクでもいいんじゃないかと思って調べてみたら、「母乳でもミルクでもどっちでもいいんだよ」「ママが楽な方でもいいんだよ」という意見もあれば、「母乳ってすごく大事だから、母乳を飲ませるべきだよ」という意見もありました。
起こすか寝かしておくかについても、3時間おきに起こして飲ませてくださいと産院で言われ、「やっと寝たのにまた起こさなきゃいけないのかな」とだいぶ悩んで調べました。すると「寝かせといていいよ」「ちゃんとアラームかけてでもリズムを大切にして飲ませないといけない」と色々な意見が出てきました。
いずれの検索結果も、産婦人科医や助産師といった専門的立場の人の意見なんですね。だから、どれが本当なのか分からなくなってしまったんです。
結局、実はどれも正解だったということにたどり着いたのは、それから数年後の第2子出産の後のことでした。子どもによって対応が違う。そんないちばん基本のことは、どこにも書いてなかったんです。
狭く深くはまるネットのワナ
はまると危険なサジェストワード
特にネット検索で皆さんに気をつけていただきたいのは、1つにおすすめワードとしていろんなワードが出てくるということです(上図左側)。
私が今回のイベントのために「赤ちゃん」「新生児」「乳幼児期」などのワードを入れて検索をしていったら、赤ちゃんと入れるだけで「赤ちゃん 母乳嫌い」「赤ちゃん 起こす 授乳 悩み」「赤ちゃん ママ嫌い」など、その人の検索リサーチに沿ったおすすめワードが出てくるようになりました。
こうしたネガティブなワードはどうしても悩んでるときに出てくるので、例えば「夜泣き 止まらない」とか、「旦那 イライラ 止まらない」とか調べてるとそれに関連して情報が出てきて、その世界しか見えなくなっていってしまいます。
そうすると実は隣に「旦那 イライラ 解消」というキーワードがあったとしても、それが目に入らなくなってしまいます。世の中の人たちってみんな旦那さんにイライラして、しまいには離婚しようかまで思い詰めてる人もいるような気がしてくるんですね。そして、そんな情報ばかりが目に入る負のスパイラルに陥ってしまうんです。
抜けられないのがスパイラル。だから、ネットの検索では幅広く情報を見るように、意識して使ってほしいと思っています。
余談ですが、ネットの画面に入る広告も検索したワードに連動して出るようになっています。スマホやパソコンを開くと悩みを増幅させていくものばかり。そんなネットの落とし穴に気をつけてください。
ネガティブの威力は5~7倍強烈
そして気をつけていただきたいことがもう1つ、ネガティブの威力はとても強いということです。
②の図はある商品のレビュー画面です。評価は同じ4.1なのですが、パッと見たときに星1つ、星2つという評価があると警戒しますよね。公平に見るなら、口コミ総数や低評価の内容を確認することが必要です。
他にも、講演会などで最後に質疑応答やご感想ありますかっていう場面がありますよね。その時に、1人の方が「この講演会は意味が分からなかった」と言うと、それまで聞けてよかったって思っていても気持ちに影を落としてしまうことがあります。
このようにネガティブのワードはとってもパワーをもっています。心理学研究では、ネガティブワードは他の言葉の5倍~7倍のインパクトがあると言われています。ですから、自分の中でネガティブなワードを繰り返していると、自分にダメージを与えることになってしまうんです。
人は1日に頭の中でだいたい3万~5万回の独り言をつぶやいています。その中のどれくらいのボリュームでネガティブワードが頭によぎっているのかを考えると、自分へのダメージがこんなにあるんだって少しドキッとするかもしれないですね。
ネガティブをちょっとポジティブに転換するのもとっても大事なマインドの一つです。
子育て大困難時代
VUCAの時代がやってきた
では、どうしてそんなネガティブになりやすいのでしょうか。
それは、今の時代が子育て大困難時代だからなんですね。
今の時代は「変動性・複雑性・不確実性・曖昧性の時代=VUCAの時代」と表現されます。少し硬い言葉ですが、要するにこれまではパターン化されて分かりやすかったものが、どんどん複雑で予測不可能な変化をしていく時代になっているのです。
そうした時代の中では、子育ても今までのように「こういう時はこれをやったら大丈夫」という決まりきったセオリーのようなものがどんどん崩れていっているのです。
抱っこ一つにしても、今まではすぐに抱っこすると抱き癖がつくから良くないよっていうのが当たり前の考え方だったし、それから少し時代を経た10年ぐらいは泣いてたらすぐ抱っこしてあげて安心感を与えるのがいいんだよって言われてました。
それも今は少し変わってきて「お子さんの状況を見て判断してください」ってなってきてますよね。
教育用語では、そうした状況を「個別最適化」と言います。個々に最適な方法があるという意味です。
ですが、それぞれのお子さんやご家庭にとって一番合っているのはどれなのかを探し求め、考えながら子育てをするのは親にとっては大変なこと。子育てが大変になっていると言われる大きな要因の一つです。
教育も変わる?
実際に教育も変わってきています。
今の教育の話の前に、少しだけ江戸時代から今に至るまでの教育の話をさせてください。
これがどうマインドチェンジにつながるんだろうと思うかもしれませんが、実は江戸時代って教育が充実していた時代なんです。
寺子屋があちこちにあって、藩校と呼ばれる藩の学校があって、江戸時代に日本を訪れた外国の人がびっくりするくらい日本というのは本当に教育が行き届いている素晴らしい国でした。先生がいて、子どもたちがそれぞれ学ぶという寺子屋スタイルは約300年間続きました。
その後、明治になって日本も富国強兵とか「追いつけ追い越せ」というキャッチコピーで、教育を進めることによって欧米に追いつこうとしていました。
ちょうど、上図の真ん中に載っている白黒の写真が明治時代の教室です。「あれ?」って思いませんか。
右側に写っている写真は平成の教室です。なんと明治の教育制度が始まってから約150年間、先生が前に立って板書するスタイルが脈々と続けられてきました。
ところが、教育の形が変わらない間にも社会は大きく変化しています。
江戸時代があり、明治で開国をして、それから戦争を経て、戦後の高度経済成長期を経てというたくさんの流れを経て、今はコンピューター・スマホといったもので全世界と一瞬で繋がれる時代になっています。それなのに、学校の教育スタイルだけは全く変わっていないのです。
今は、さすがにこれではまずいということで、グループで学習をしたり、オンラインを取り入れて一人一台デバイスを手にして調べ学習をしていくというように少しずつ変化してきています。こんな風に何百年と続けられてきた教育も、今は手探りで変わろうとしている時代なんです。
その中で私たちの子育てというのは、その先を行くぐらいのつもりで子どもとの関係性を変えていかなければなりません。学校に行って、その先の社会に行って、子どもが自分の頭で考えて自分で動くことができなくなってしまうんです。
社会も手探り、教育も手探り、そして子育ても手探りの中で私たちは子育てをしているんです。子育て大混乱時代の中で私たちはとっても頑張っていると思います。なのでいろんな悩みが出るのは当たり前なんです。
悩みのパラダイムシフトを起こそう
だから、悩みのパラダイムシフトを起こしましょうというのが提案です。
悩むのは当たり前なんです。だってお子さんのことをよく見て、このままで大丈夫なのかなって不安に思うのはそれだけお子さんのことを大切に思っている愛の証だから。
悩んでいる時ってネガティブで暗くて重たい気持ちがどうしてもついてきます。そこをひっくり返しましょう。悩むというのはそれだけ子どものことを真剣に考えているし、前に向かって進んでいこうと思っている証拠で、私が頑張っている証です。そう思ったら、悩みが重たくて暗いものから明るくポジティブなものにひっくり返っていきますよね。
ここのマインドチェンジができるかどうかというのはとっても大きいです。
旦那さんにイライラする、どうにかしたい、その気持ちは旦那さんとの関係性を良くしたいという前向きな気持ちの表れだし、イヤイヤ期がいつまで続くか分からないというのはそのお子さんの成長を願っている愛の証だという風にちょっと見方を変えると、困ったな、嫌だなという感情が明るいものにひっくり返ります。
悩みのポジティブ変換
なんでうまくいかないのかな、私ってダメなママだな、どうしたらいいのか分からない、そういったものをスイッチを一つ切り替えて、どうやったらうまくいくんだろう、試してできなくって当たり前。今日の私と子どもの関係は今日が一番最初の日だから。いろいろできないことがあって当たり前だし、うまくいかないことがあっても当たり前。そこから次どうしようかなって考えていけば大丈夫なんだという風にマインドをひっくり返せるといいですね。
そしてもう一つ大事なのが、分からないなら聞いてみること。一人で抱えているとさっきのネットのスパイラルのように、どんどん落ち込むスパイラルに入ってしまいます。 これを自分の中じゃなくて外に出してあげることが大切です。 ぜひ困ったな、嫌だな、ということがあったときは誰かに話をしてみてください。
たった一つのマインドチェンジ
悩みというのは辛いもの、大変なもの、苦しいもの、乗り越えなきゃいけない困難な壁というのではありません。悩みは当たり前に起こるものだし、成長の一つだし、それによって変化をして喜びをもたらしてくれるものなんだという風にマインドセットをしてください。
少し余談になりますが、私が赤ちゃんを抱えてバスに乗っていたときにお隣に90歳近くのおばあちゃんが座られて、「かわいいね、何歳ぐらいなんだい?」なんて話しかけてくれたんです。「今、9ヶ月なんですよ」とお話をしていたら、「うちにも息子がいてね、本当に手がかかって大変だったんだよ。もう今でも本当に心配がつきなくって。」とおっしゃったんです。
90歳のおばあちゃんが、手がかかって大変だったということを昨日のことのようにお話しされていて、しかも息子さんのことが今でも心配でしょうがないんだっておっしゃっている。その姿を見て、親はいくつになっても子どものことが心配で悩んで仕方がないものなんだなと思いました。
悩みはあって当たり前でいいんだよ、というのが実は今回の究極の答えです。
あれって思うかもしれませんが、悩みを持っていることが当たり前なんだという風にシフトチェンジできると、悩むことに悩まなくなります。悩んだ自分を不安に思わなくなっていきます。
悩んだときは、ぜひ、当たり前のこと、変化をもたらしてくれる喜びなんだという風に思っていただければと思います。
Q&A
Q1. 下の子が夜寝なくて、ドライブで寝かせることも多いのですが、良くないでしょうか。
必ずお布団で寝られる日が来ますので、寝られるなら何でも大丈夫ですよ。ただきっと夜中だと思うので、時にはパパとバトンタッチしたりとか、寝不足のまま運転するのは危ないですから、うまくシフトを交代して下さいね。
Q2.抱っこしないと泣き続けるので抱っこしている時間が長いのですが、親戚に抱き癖がつくと言われました。抱っこし続けてあげたいですが、その言葉がどこか引っかかってしまいます。気持ちを切り替えるコツはありますか。
外から言われるいろんな声って、「こんにちは」代わりのようなものです。
街中でも赤ちゃんだっこしていると声をかけていただくことがありますよね。皆さん、自分がこうしてきたという経験をもとに話しているだけ。そよ風ぐらいに思って、聞き流してください。
一番大切なのは、ママ自身とお子さんが心地よく過ごせること。それから、大変じゃないこと。だから、抱っこしてないとかわいそうだなと思うなら抱っこしてあげていれば大丈夫です。
それから逆に抱っこし続けてると、この抱っこも辛いという時があると思います。その時は置いといて大丈夫です。
その状況に応じて赤ちゃんと接していただければ大丈夫ですよ。周りの声はそよ風と思って過ごしてみてください。
Q3.テレビを見ながらご飯を食べていい時とそうじゃない時など、親の疲れ具合によって対応がバラバラになってしまい悩んでいます。
テレビとかyoutubeとか、いろいろ便利なものがあるので悩みが増えていく一方ですよね。
これはご家庭がどういう方針で進めたいかによると思います。お食事中はテレビを見せたくないっていうのであれば、そこはテレビはつけないということで1本線を引くことだと思いますし、疲れてる時くらいはいいよねっていうことなのであれば、今日は疲れてるから一緒に見よっかというのもいいのかなと思います。
ただご心配されているのって、その状況によって判断がぶれてしまうことですよね。
例えばスーパーに行った時にお菓子売り場でお子さんがダダコネて買っちゃうとか、でも買わない方がいいですよね、みたいなこともあるかなと思います。
どこで線引きするかはご家庭によるところが大きいので、ご家庭で決めたらそこは筋を通す。うちは食事中のTVはNGだと決めたなら、そこは譲らない。けれど、例えば「時計の針がいくつまでにごちそうさまできたらテレビつけようか」とか、「こういうふうになったらテレビが見られるよ」と相談するのも良いと思います。
もう少し小さいお子さんでおしゃべりが難しいようであれば、ママの方から提案として、判断のラインを切り替えていくのが良いのではないかと思います。
Q4.4歳の子どもが、歩かずに抱っこと言います。抱っこしてあげたいのですが体力的に辛いです。歩かせる方法はありますか。
子どもはゲーム性のあるものが好きです。
例えば「そこの電信柱までママと競争してみよう」と言って、歩くゴールを決めてみる。
あとは、「今、ママはこういう状況でちょっと辛くて抱っこができないの。だから、頑張ってくれるかな?」と言ってママが最初に降参しちゃうというのも手です。
これは他の場面でも効果的です。ママが弱いところを見せることはとても大事なこと。完璧なお母さんじゃないっていうところを見せると、子どもたちもすごくホッとするんですね。自分もできないことあっていいんだなっていうメッセージにもなります。「ママは今、ちょっと無理なんだ。助けてもらえるかな」「お家まで頑張ってくれるとママすっごく助かる」と言ってみるのも良いと思います。
少しゲーム性を持ってみたり、お子さんが立役者になるようなママの弱みを見せるというような方法も試してみてください。
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