産後うつはいつまで続く?チェック方法や症状と対策
産後うつやマタニティブルーという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?その名前の通り、出産後の女性が心身で不安定になる症状のことを呼びます。
「出産してから気分が落ち込み気味...」
「産後2ヶ月くらいからちょっとブルーな気持ちになっている...」
そんなことを感じている方は産後うつの症状を持っているかもしれません。しかし、出産した女性のうち10人に1人は産後うつの症状が出るとも言われており、けっして珍しいことではありません。
ここでは産後うつとマタニティブルーの違いや、チェック方法や対策などを紹介します。自覚症状がある方もない方も参考にしてみてください!
助産師が監修
BELTA専属 助産師
立谷 紗耶華
(たちや さやか)
マタニティブルーと産後うつの違い
出産後の女性が心身で不安定になる主な症状として「マタニティブルー」と「産後うつ」があります。
マタニティブルー
マタニティブルーとは、妊娠中や出産後に漠然と不安な気持ちになったり落ち込んだりする現象です。
「産後うつ」に比べると比較的軽度な状態で、これからの子育てに対して漠然と不安な気持ちになったり、涙もろくなったり、些細なことでイライラしてしまったり、落ち込んだりするなどの症状が現れます。
産後の女性の25%~30%が経験しますが、1~2週間程度で自然と治る場合がほとんどです。重症化すると産後うつに繋がる恐れがあります。
産後うつ
マタニティブルーとは違って放っておけないのが産後うつです。
産後うつとは出産後に現れる「うつ症状」のことで、産後の女性の10%~15%が発症すると言われています。
出産直後から3カ月以内に発症することが多いですが、なかには出産から1年後に発症したケースもあります。発症期間も人によって異なりますが、2週間以上続くケースが多いようです。
産後うつは治療することで症状が改善されるケースがほとんどです。なるべく症状が軽いうちに、専門家や医師のサポートを受けられるよう受診を心掛けましょう。重度の場合は自傷行為や自殺に至ることもあるため、家族で見守っていくことが必要です。
症状をセルフチェックしよう
産後うつになる原因
産後うつは、複数の要因が重なり合って引き起こると言われています。主に身体的なものと精神的なものに分かれます。
身体的な原因①
女性ホルモンの変化
身体的な原因の1つとして女性ホルモンの変化が原因とされています。妊娠時は女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌が増えていきます。
しかし、出産後はホルモンバランスが通常の状態に戻るため、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が急速に減少します。この変化に体が適応できず、自律神経が乱れて体全体に大きな影響を及ぼします。
身体的な原因②
睡眠不足や育児による疲労
出産後すぐに育児が始まり、授乳やオムツ交換、洗濯の量が増えるなど、負担が増加します。さらに、赤ちゃんの世話や抱っこ、沐浴なども日常的に行わなければならず、家事全般の量も増えます。
授乳に関しては、数時間ごとに必要なので夜中に何度も起きなければなりません。そうなると睡眠不足の状態が続き、疲労も溜まっていく一方。やがて精神的にも疲弊していき、産後うつになる原因の1つとなります。
身体的な原因③
遺伝的要因
米国の研究によると家族に精神疾患の歴史がある女性は、産後うつになるリスクがほぼ2倍に増加すると示されています。
また、遺伝子研究の一部では産後うつに特有の遺伝子変異は明確にはなっていませんが、特定の遺伝子変異がうつ病のリスクを高める可能性があることが示されています。
※参考:Family History of Psychiatric Disorders as a Risk Factor for Maternal Postpartum Depression
精神的な原因①
プレッシャーやストレス
出産後は「母親」という目線で見られることに少なからずプレッシャーを感じることもあります。母親として家族や親族の期待に応えつつ、赤ちゃんを守る責任があるといった気持ちから過度にプレッシャーやストレスを感じやすいです。
小さなことに対しても敏感になってしまい、その結果精神的に疲弊することで、産後うつになる可能性が増加します。
精神的な原因②
夫婦関係による問題
産後、赤ちゃんの世話で忙しくなり、夫婦間のコミュニケーションが少なくなります。 夫婦間で十分にコミュニケーションが取れないと感情や意見が共有されず、誤解や問題が起きやすくなります。コミュニケーション不足により夫婦間のストレスも大きくなるため、産後うつの可能性を高める原因となります。
産後うつになりやすい人の特徴
基本的には誰にでも発症する可能性はありますが、以下のような傾向の人はより発症しやすいと言われています。
- 真面目で責任感が人一倍強い
- 何でも完璧にこなさないと気が済まない
- 過去に精神的な病気にかかったことがある
- 家族や親族との関係がうまくいってない
- 周囲に悩みを聞いてもらえる人がいない
- マタニティブルーがあった、または続いている
マタニティブルーがあった場合や続いている場合も産後うつになりやすいと言われているため、継続的に注意しておくようにしましょう。
産後うつの予防や対策
まずは産後うつにならないように予防していくことが大切です。セルフケアできることは行っておくようにしましょう。
1人の時間を設けてストレスを解消する
育児にはかなりの負担がかかります。両親や兄弟などの身近な人に頼れるなら、短時間でも子供を見てもらって自分のための時間を持つことが大切です。
もし周りに頼る人がいない場合、各自治体のファミリーサポートセンターや家事代行サービスを利用することも選択肢の1つです。
家事は手抜きでいい
何でも完璧にこなす必要はありません。
育児に関することならまだしも、家事を全て完璧にやり遂げようとすると精神的にも肉体的にも負担が増えてしまいます。手の抜ける部分は手を抜き、家族に任せられる部分は任せてしまうことも大切です。
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周囲とコミュニケーションをとる
出産後の生活は、育児や家事に慣れない状況やホルモンバランスの変化が原因で、孤独感や不安を抱きやすくなります。
周囲とコミュニケーションをとることで、自分の悩みや不安を吐き出すことができます。
また、共感を得ることで気持ちが楽になるだけでなく、孤独感や不安を軽減することもできるためコミュニケーションはとても重要です。
予防に最適な栄養素を摂取する
出産後の女性は、ホルモンバランスが変化し、神経伝達物質が不足すると孤独感や不安に感じる原因になります。必須脂肪酸(DHAなど)や鉄分、葉酸などの栄養素は、神経伝達物質の生成を促進しホルモンバランスを整えるのに役立ちます。
これらの栄養素は、サプリで効率よく摂取することができます。
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治療に備える
産後うつは誰にでも発症する可能性があり、治療には入院費や赤ちゃんを預ける費用が必要になる場合もあります。
もしもの時のためにも保険に加入することは有効な手段の一つです。
「ベルタ妊娠保険」は月1,170円※1から始められる、妊娠中のママと赤ちゃんのための保険です。帝王切開や高血圧症候群などで入院となった場合には、かなりの費用がかかってしまうこともあるため、万が一に備えて妊娠保険をぜひ検討してみてください。
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心当たりがあるなら専門家に相談しよう
産後うつは心の病気ですので、なってしまった場合は専門家や医師の元で治療が必要です。基本的には一般的なうつ病と同じ治療法となるため、カウンセリングや薬物療法での治療となります。
どこの病院へ行けば良いかわからない場合は、日本助産師会の子育て・女性健康支援センターの窓口に相談する方法や、かかりつけの産婦人科に紹介してもらうことも可能です。特に相談窓口は少しでも悩みがあれば積極的に利用してみてください。
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